<結婚式場でのワンシーン> その光景を見て、4年前のあるシーンを 思い出していた... 友人の結婚式に呼ばれ友人代表の スピーチをすることに。 司会者から声が掛かり、 マイクに向かって歩いていく。 身体が重く、表情が強張っているのが ハッキリとわかる程緊張している。 額には汗、そしてマイクを持つ手は震えていた… 最初の挨拶を無難にこなし、 「よしっ、このまま」と思った矢先 スピーチにのぞむまでに、充分な準備期間が取れず 1週間前から原稿を書き始め、完成したのが昨晩。 それでも、深夜まで暗記と練習を繰り返してきた。 練習ではスラスラと言えていたから、なんとかなるはず… そんな淡い期待は脆くも崩れ去った。 原稿を思い出せず、焦りだけが増していく。 周囲が騒がしくなり、新郎新婦の笑顔が徐々に曇っていく。 それを見た瞬間、頭が真っ白になり全身から汗が噴き出して パニック状態になっていた。 そんな様子を見かねて司会者がフォローを入れるが、それもあとの祭り。 「とにかく、おめでとうございます」と絞り出すように一言残して、 逃げるように席に戻ってきた私を友人たちは温かく迎えてくれた。 その温かさが堪えた。 結婚式が終わった後も、恥ずかしくて新郎新婦への挨拶もできず 逃げるように帰ってきたあの日…1週間前ではあったが、何百ページもあるスピーチの本を何冊も 買い込んで熟読し、書きあげたスピーチの原稿。前日の深夜まで丸暗記して万全だと思ってのぞんだ本番で 報われなかったあの日…強烈な後悔と自責の念から、スピーチの勉強のためコミュニケーションの 教室に通い、4年間で100万円以上も投資して学び続けてきた。 |