恵子は声を荒げて私に訴えかけた。 今、私は模擬面接をしていた。私は現在、社員600名以上を抱える企業の採用担当をやっている。 実は1週間前、同じ大学の後輩である恵子から、就職口がなかなか決まらず困っているという電話がかかって来たのだ。 「もう、他の友達は採用がもらえているのに、私ばかり採用されないんだよ。目が節穴の面接官ばっかり。そう思わない?」 まずは先輩に対する口の利き方から直さなければいけないと思ったが、1番の問題はそこではない気がしていた。 「じゃあ、俺が模擬面接をしてあげるよ。現役の面接官の模擬面接なんて受けられるだけでも有難いだろ?」 「うーん。まあ・・・、いっか。」 やはり口の利き方がなっていない。 それから1週間後、恵子が私の自宅に来て模擬面接をすることになった。 「じゃあ、まずはいつも面接で話している通りに言ってみて。」 早速、模擬面接を開始した。 「私は○○恵子です。○○大学4年で、得意教科は簿記です。私の強みは・・・」 恵子は早速いつも通りに話を始めた。 「はい。やめて。・・・やっぱりそれじゃダメだわ・・。」 「どうしてダメなの!まだちょっとしか話てないのに!」恵子は声を荒げて私に訴えた。 「はっきり言うけど、面接が始まって、 恵子の話が始まって15秒でもう面接官は恵子の話を聞く気がしなくなっていると思うよ。」 「最初の15秒がダメってどういうことよ! 就職課の人だってこういう風に言えって言ったんだから!」 「はぁ・・。就職課ね。 まあ、正直に言うけど、彼らが一体どれだけ企業面接のことを知っているのか・・・。おそらく企業側のことより、自分のことを正直にかざらずに言えば伝わるとかなんとか・・・。」 「そう言ってたけど。」 「言ったんかい!もうそんなの忘れて、今すぐに! もっと実践的で効果のある4つのポイントがあるんだから。」 「なによ、その4つって。教えてよ!」 「教えてもいいけど、もしこれを教えたら絶対にこの通りにするって約束する?」 「約束する!」 「分かった。じゃあ、まず1つ目のポイントね。1つ目は面接が始まったら●●●をして。」 「は?」 「は?じゃないだろ。分かった?」 |